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電子書籍の選書とジャンル

電子図書館コラム2021.12.09

今回は、電子書籍の選書とジャンルのお話しをしたいと思います。
 
電子図書館の利用の活性化には、タイトル数の確保が重要ですが、
限られた予算の中で、授業や学習に役立つコンテンツを中心に
 
電子書籍を選書するのは、想像以上に大変な作業です。
 
流通しているすべての電子書籍が購入できるわけではなく、
新刊または授業や学習に適したコンテンツが少なかったり、
紙書籍より高価格だったり、ライセンス期限があったりと、
紙書籍の選書と違う点も多いため、選書がより難しく感じます。
 
こうしたなかで、利用者のニーズに合ったものから選書するには、
学校図書館の蔵書構成や選書の傾向が参考になると紹介しました。
詳しくは、前回のコラムをご覧ください。
 
一方で、電子図書館ならではのニーズや選書の傾向もみられます。
そこで、本校がどのようなジャンルやコンテンツを選書してきたのか、
現状報告したいと思います。
 
 
 
 
電子書籍のジャンル構成はどうなっているの?
 
こちらは、これまでに新規購入した電子書籍のジャンル構成(NDC別)です。
トライアル期間を含めた、2015年度~2020年度までの6年間の集計結果です。
 
 
 
 
◆最も購入している電子書籍のジャンル順
1.「9類 文  学」   (676タイトル)
2.「8類 言  語」   (376タイトル)
3.「2類 歴史地理」   (300タイトル)
4.「3類 社会科学」   (285タイトル)
5.「7類 芸術・スポーツ」(179タイトル)
6.「1類 哲  学」   (173タイトル)
7.「4類 自然科学」   (110タイトル)
8.「5類 技術工学」   (106タイトル)
9.「0類 総  記」   (37タイトル)
10.「6類 産  業」   (34タイトル)
 
 
6年間で最も購入した電子書籍のジャンルは、「9類 文学」でした。
具体的には、現代小説やライトノベルを最も多く購入していました。
また、教科書に掲載されている古典や文学作品も多く購入していました。
 
その他、各ジャンルでどのようなコンテンツを購入していたのかは、
次回のコラムで詳しく触れたいと思いますが、簡単にまとめるとこんな感じです。
 
「9類 文  学」現代小説・ライトノベル・教科書掲載の古典や文学作品
「8類 言  語」英語多読本・英検・漢検・小論文対策

「2類 歴史地理」探求学習の歴史や地理の資料・修学旅行

「3類 社会科学」教養を涵養するための社会学や経済学など・時事・進学進路
        学習勉強法・過去問・受験対策・
持続可能な開発目標(SDGs)
「1類 哲  学」哲学・心理学・宗教・占い・生き方
「7類 芸術スポ」スポーツ・漫画の描き方
「5類 技術工学」料理・建築学・ロボット・環境問題
「4類 自然科学」医療看護・健康・数学・生物学
「6類 産  業」観光学・企業経営
「0類 総  記」AI・情報学・ネットマナー
 
「3類 社会科学」の持続可能な開発目標(SDGs)のコンテンツは、
ユネスコスクールの取り組みの一環で、課題や探求学習が増加したため、
購入数が多くなっています。
 
「4類 自然科学」の医療看護、健康、「7類 芸術・スポーツ」のスポーツは、
学校の特色や教育理念に密接に関わるジャンルであるため、
授業や進学進路決定での利用に対応して、購入数が多くなっています。
 
こうしてみると、本校では、主に3つの目的で選書しているといえます。
 
①教養的・娯楽的な読み物を中心とした読書での利用
②探究学習や受験対策など授業や学習での利用
③学校の特色や教育理念に関連する取り組みでの利用
 
これは、学校図書館で紙書籍を選書する際の方針と、ほぼ同様です。
こちらをご覧ください。
 
 

 
 
これは、電子書籍と紙書籍のジャンル構成(NDC別)を比較したグラフです。
蔵書全体の中で、各ジャンルがどれくらいの割合を占めているかを示しています。
なんとなく似ているような感じがしませんか? この理由としては、
 
紙書籍の利便性を向上させるために、補完的に電子書籍を購入しているからです。
 
紙書籍に加えて、電子書籍でも利用することができれば、
持ち運びも便利になりますし、貸出や返却も楽になります。
また、少し確認するだけなのか、読み比べながら熟読するのか、
用途に応じて使い分けることもできますよね。
ニーズが高いジャンルほど、両方が充実しているといいなと考えています。
 
しかし、電子書籍は、ジャンルによってやや偏りがみられます。
「0類 総記」「4類 自然科学」「7類 芸術・スポーツ」は、
紙書籍に比べてジャンルの割合が低くなっていることがわかります。
 
この理由は、事典や図鑑などカラーで画像やイラストが多用されている
高価格帯のコンテンツが多いジャンルとなっているためです。
たくさん購入することが難しくなっています。
 
反対に、「8類 言語」は、とくに英語多読本は比較的に安価で、
授業や学習にも活用され、紙書籍で購入するよりも管理しやすいので、
積極的に購入したいジャンルとなっています。
 
このように、すべての電子書籍が、紙書籍の補完的なものというわけではなく、
電子書籍だからこそ、積極的に購入するパターンもあります。
 
次回は、それらも含め、各ジャンルのコンテンツの中身を詳しく紹介します。
 
 
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