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学校図書館が最も期待する電子書籍とは?

電子図書館コラム2022.02.01

今回は、電子書籍のコンテンツのお話しをしたいと思います。
 
本校では、電子書籍と紙書籍の蔵書構成が比較的に似ています。
これは、紙書籍の利便性を補完するかたちで、電子書籍を選書しているためです。
詳しくは、前回のコラムをご覧ください。
 
しかし、一部の電子書籍は、紙書籍の補完的な役割としてではなく、
 
あえて電子書籍の方を優先的に選書することがあります。
 
理由としては、電子書籍の方が利便性が高いことが挙げられます。
その他にも、電子書籍ならではの理由があるんですね。
このような傾向は、他の電子図書館の導入校でもみられるようです。
以前、複数の導入校で電子図書館に関するインタビューをした際に、
いろいろとお話しをお聞きすることができました。
 
そこで、本校を含む複数の導入校で、どのような電子書籍を選書しているか、
その際、どのようなニーズやメリット、問題点などを感じているのかと共に、
現状報告したいと思います。
 
 
 
 
学校図書館で最も期待されている、電子書籍のコンテンツとは何か?
 
こちらは、以前、私が行った研究のアンケート調査の結果です。
2019年に電子図書館を導入している高等学校(中高一貫校を含む)10校を対象に、
今後、学校向けの電子書籍に期待するコンテンツのジャンルについて尋ねました。
ここでは、一般的な書店で使われているカテゴリーで質問をしています。
なお、研究の詳細は、こちらからご覧になれます。
 
 
 
 
◆最も期待されている電子書籍コンテンツのジャンル順
1.「小説」「語学・洋書」            (8校/10校中)
2.「教養・読み物」「学術・専門書」「事典・図鑑」(7校/10校中)
3.「辞書」                   (6校/10校中)
4.「進路・職業」「資格検定」          (5校/10校中)
5.「学習・問題集」               (4校/10校中)
6.「生活実用書」「自己啓発」「漫画・コミック」 (2校/10校中)
7.「ビジネス書」                (1校/10校中)
 
 
最も期待されている電子書籍コンテンツは、「小説」「語学・洋書」でした。
対象校10校のうち8校が、「期待している」と回答しています。
 
本校でも、6年間で最も購入した電子書籍のジャンルは、「文学」「言語」でした。
生徒から人気がある「小説」や、授業利用での取っ掛かりに最適な「語学・洋書」は、
他の導入校でも、需要が高いコンテンツのようですね。
 
調査の結果をみると、学校向けの電子書籍に期待するコンテンツでは、
 
授業や学習、進路や職業に関わるコンテンツの期待度が高い!
 
という傾向がみられました。学校図書館ならではという感じですね。
「小説」を除くと、上位にあるコンテンツのほとんどが、
探究学習や課題研究などの授業や学習に関わるコンテンツか、
将来の進路や受験対策に関わるコンテンツとなっています。
 
「教養・読み物」については、教養目的なのか、娯楽目的なのか、
やや曖昧なところがありますが、導入校の意見を聞いてみると、
どちらかというと真面目な教養目的での選書が目立つようです。
もちろん、娯楽性のあるコンテンツの需要もきちんとあります。
 
一方、「生活実用書」「自己啓発」「漫画・コミック」「ビジネス書」
といった授業や学習、進路や受験にさほど影響しないコンテンツは、
需要があまり高くないことがわかります。
 
ただし、これらのコンテンツで授業や学習、進路や受験に役立つものは、
「教養・読み物」として扱っているところが少なくないので、
実際は、下位にあるコンテンツの需要が低いわけではないと思われます。
 
予算的な負担から、すべてのコンテンツを購入することが困難であるため、
優先順位ができてしまいますが、インタビューを実施した過半数の導入校で、
本来は、すべてのコンテンツが必要であると考えていることがわかりました。
 
すべてのコンテンツをなるべく早く充実させたいところですが、
コンテンツが抱える問題点は、予算的なこと以外にも色々とありそうです。
 
次回は、導入校がどのようなメリットや問題点があると感じているのか、
コンテンツのジャンルごとに、さらに深く掘り下げていきたいと思います。
 
 
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