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電子書籍の料金(1)

電子図書館コラム2020.08.24

【こちらは、2016年2月19日(金)に公開された記事の再掲です。】
 
2015年12月上旬。
LibrariE(ライブラリエ)」の説明を聞いて、少し気になった部分が、
電子書籍の料金についてです。説明でわかったことをまとめてみました。
 
・電子書籍の料金では、ライセンス(権利)を購入している
・ライセンス(権利)とは、データを「所有する権利」ではなく「利用する権利」のこと
・ライセンスの料金形態は、以下の3種類がある
(1)電子書籍1冊分につき一人のみ利用可能な「ワンコピー・ワンユーザー型」
(2)電子書籍1冊分につき複数人が利用可能な「ワンコピー・マルチユーザー型」
(3)電子書籍の貸出があったときに課金される「都度課金(つどかきん)型」
 
ライセンスの料金形態のそれぞれの内容はこんな感じです。
 
(1)「ワンコピー・ワンユーザー型」
・電子書籍1冊分につき一人のみ利用が可能
・誰かが借りている時は、紙書籍と同様に「貸出中」で借りられない状態になる
・紙書籍価格の約2~3倍で、1,500円の本だと約3,000円~の電子書籍が多い
・2年間、または、貸出回数52回までのライセンス有効期限付き
・貸出回数52回は、貸出2週間とした場合に2年間で連続貸出した最大数から算出
・ライセンス失効後は、再度購入・都度課金型へ更新・契約終了の3つの選択肢がある

  
(2)「ワンコピー・マルチユーザー型」
・電子書籍1冊分につき複数人が利用が可能
・誰かが借りている時も、ライセンス上限数までは同時に借りられる状態になる
・出版社と交渉のうえ、提供価格が提示される
・途中からライセンスを追加できる。一時的に貸出数が集中する場合などに便利
 
(3)「都度課金(つどかきん)型」
・(1)で一度購入した電子書籍のライセンス失効後に移行できる
・電子書籍の初回購入では、都度課金型の利用はできない

・貸出された時のみ、料金が発生する
・1回の貸出料金は、(1)の料金の26分の1程度(出版社側で設定)
  

まず、電子書籍の一体、何を購入しているのかということについて、
データそのものを「所有できる権利」を購入しているのではなく、
データを「利用できる権利」を購入しているということです。
つまり、自分の図書館のものにできる電子書籍を買うのではなく、
事業者で所有する電子書籍への利用資格を買うということになります。
 
紙書籍の場合、自分の図書館の所有物としてずっと保存でき、
購入後に料金が発生しないのが当たり前のようになっていたので、
電子書籍の場合、購入したものが手元に残らないということや、
一度購入した後も料金が発生するということが、なかなか納得できず、
電子図書館の導入に踏み切れない主な理由の一つでした。
 
そこで、電子書籍の取引について色々と調べてみました。
そもそも電子書籍は、有形物と無形物のどちらで扱われるのか?
ということから違和感の原因が始まっているような気がします。
 
現在、電子書籍は、“無形物”として扱われているようです。
無形物は、所有権を移すことができないものとなっているので、
電子書籍を購入しても自分の図書館のものにはならないのだとか。
電子書籍は提供する会社が所有し、読む権利をもらうのが一般的で、
データを利用する権利に対して料金が発生するという仕組みは、
ここからきているのかという結論に達しました。
 
したがって、データも所有できるはずという思い込みを改めなければ
いけないようです。ということで、電子書籍の何を購入しているのか
については納得ができそうです。しかし、さらなる疑問がでてきました。
 
LibrariE(ライブラリエ)」を利用停止した場合や別の電子図書館へ
移行した場合は、購入したライセンスはどうなるのかです。
電子書籍は提供する会社が所有していることから、電子図書館を別の
電子図書館に代えてしまうと、電子書籍のコンテンツが全て失われる
可能性があるということになります。せめて電子書籍のコンテンツは、
そのまま継続移行できるといいのですが…。
 
ここにきて、電子図書館自体も慎重に選ぶ必要があると思うようになり、
別の電子図書館サービスについても、調べてみることにしました。
それについては、また後で記録したいと思います。