電子書籍の料金(2)
電子図書館コラム2020.08.24
【こちらは、2016年2月25日(木)に公開された記事の再掲です。】
電子書籍の料金については、気になることがまだあります。
それは、電子書籍を一度購入した後も料金が発生する仕組みです。
実は、説明を聞いた際、ここが最も引っかかった内容でした。
3つの料金形態をおさらいすると、以下のようになります。
(1)電子書籍1冊分につき一人のみ利用可能な「ワンコピー・ワンユーザー型」
(2)電子書籍1冊分につき複数人が利用可能な「ワンコピー・マルチユーザー型」
(3)電子書籍の貸出があったときに課金される「都度課金型」
とくに引っかかるのは、(3)の「都度課金型」という料金形態です。
「都度課金型」とは
・貸出された時のみ、料金が発生する
・1回の貸出料金は、初回購入した電子書籍料金の26分の1程度(出版社側で設定)
例)3,000円の電子書籍だった場合、貸出1回ごとに約115円程度かかる
・一度購入したライセンス失効後、この料金形態に移行できる
・電子書籍の初回購入では、都度課金型でライセンスを購入することはできない
電子書籍では、まず初回購入するために料金がかかります。
初回購入から2年経過した場合、または、貸出回数が52回になった場合に、
ライセンスが失効します。その後、電子書籍の利用を継続したい場合に、
ここでやっと都度課金型に移行することができるのです。
ちなみに、貸出回数52回というのは、貸出期間を2週間とした場合に、
2年間で1日も空けずに連続貸出した回数から割り出されているそうです。
では、実際に2年間と貸出回数52回では、どちらが早いのでしょうか。
学校図書館では、人気の新刊でも年間の貸出回数が約15〜20回なので、
2年間の方が早くやってきそうな感じですね。
例えば、2015年度の学校図書館の全体貸出冊数(約3,500冊)のうち、
約8割は2年以内の新刊で、残りの約2割は2年以上経過した本でした。
初回購入が3,000円の電子書籍の場合の都度課金に換算してみると、
約700冊分で8万円相当になります。紙書籍であれば、購入後に約8万円
の料金が発生することはないと思うと、少し考えてしまいますね…。
せめて2年が延長されるか、26分の1の割率が低くなるといいですが。
または、初回から都度課金型を選択できるのであれば、魅力的だと思います。
とくに2年間の有効期限があるうえでは、初回購入の元が取れるのか…。
それならば、利用しない場合は0円で、利用分の料金が発生する方がよいです。
長く利用する資料は、紙書籍で購入すればいいだけのこととなりますが、
それでは電子図書館を継続利用していくために、何の解決にもなりません。
以下のような感じになると、学校で電子図書館を導入しやすくなると思いました。
・2年間のライセンス有効期限を延長する
・都度課金型の料金について、初回購入した電子書籍料金の26分の1の割率を下げる
・初回から都度課金型でライセンスを購入することができるようにする