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『学び合い』による「現代社会」の授業加藤 究 先生

どのような授業か?

1年生 アドバンストコース 現代社会

『学び合い』は、上越教育大学の西川純教授が提唱している授業です。この授業は、単に授業の「方法」が変わっているというだけでなく、従来の授業とは「考え方」が大きく異なります。それゆえ、一般名詞の「学び合い」と区別する意味で、あえて二重括弧をつけて『学び合い』と称しています。

『学び合い』は、以下の3つの「観」(考え方)を基本にしています。
①学校観
学校は、多様な人とおりあいをつけて自らの課題を達成する経験を通して、その有効性を実感し、より多くの人が自分の同僚であることを学ぶ場である。
②子ども観
子どもたちは有能である。
③授業観
教師の仕事は、目標の設定、評価、環境の整備で、教授(子どもから見れば学習)は子どもに任せるべきだ。

アドバンストコース1年「現代社会」の授業は、この3つの考え方に基づいて実施しています。具体的には、1つの単元を2時間の授業で学習しますが、
1時間目は、教師が設定した課題を班ごとに解決し、それを教え合い・学び合います。
2時間目は、教科書を見ながらプリントの穴埋めを行い、センター試験の過去問に挑戦します。
ここでは、1時間目の授業の具体的な進行について紹介します。
・生徒は、6つのグループに分かれる。メンバーは、毎回同じでも違ってもよい。
・教師は6つの課題を提示し、じゃんけんで勝ったグループから、課題を1つ選ぶ。
(これらの課題について、事前に講義や説明をすることはない。)
課題の例:
1.「法の支配」と「法治主義」の違いって?
2.フランス人権宣言では、「立憲主義」の考え方をどのように表現している?それは、簡単に言うとどういう意味?
3.フランス人権宣言によると、「自由」ってどこまで許される?
4.所有権について、「フランス人権宣言」と「ワイマール憲法」の考え方の違いは?
5.「国家からの自由」と「国家による自由」の違いって?
6.現代の主要な国家は、何に多くの予算を使っている?
・生徒は、教科書やiPadを駆使して課題を解決する。
正解を得られたと思ったら、教師に説明する。
・正しい説明と認定されたグループは、他のグループにその内容を説明する。
不合格の場合は、もう一度グループで相談する。
・6つの課題をすべて理解した生徒は、あらかじめ黒板に貼ってある名札を移動する。
(誰が終わり、誰が終わっていないのかを可視化する。)
・名札を移動した生徒は、クラス全員達成のために何ができるか考え、行動する。
(この授業の目標は、個々人の理解だけではなく、クラス全員の理解である。)
・全員がすべての課題を理解するか、残り時間が数分になったら、2人組になって課題を3つずつ説明し合う。

この授業の目的・目標

目標はどの時間でも共通です。
・授業時間内に、クラス全員が課題を理解し、他人に説明できるようになる。
・そのために、クラス全員が協力する。

この目標を達成するために、推奨されない授業への参加態度は、「黙って座って人の話を聞く」ことです。逆に推奨される参加態度は、「立って歩いてしゃべる」ことです。

生徒の反応・感想

多くの生徒が『学び合い』の主旨を理解し、行動してくれています。一斉授業では補いきれないような、細かい対応をしてくれるときもあります。アンケート結果でも、主体的に授業を受けていると答えている生徒が、90%を超えています。単なる授業の一形態にとどまらず、クラスの人間関係に寄与する部分も大きいように感じます。

本校の事例紹介