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ジグソー学習で 『鳥獣戯画』の謎 を読み解く小野寺 涼 先生

どのような授業か?

本授業は、漫画やアニメの起源とされている『鳥獣戯画』という平安時代末期ごろに作られた絵巻物の謎について生徒たちが絵巻物の読み取りを通じて解明していく授業です。甲乙巻丁の全4巻で構成されている本作品の謎を協調学習(知識構成型ジグソー法)の手法を用いながら生徒たちに協力して解明させていく流れとなっております。

具体的には4つの巻を各グループがそれぞれ担当し、次の異なるグループで各巻で読み取った結果を繋ぎ合わせ謎を解明していくようにします。協調学習(ジグソー法)を行うことで生徒は課題解決のため自らが読み取った内容をグループ活動に還元させ、クラス全員で一つの課題を解決することが可能となります。また読み取りの結果や解釈を行う際はロイロノートのシンキングツールや各グループの共有ノートを用いて思考を整理させたりグループ内で協力して課題解決できるようにしました。

授業の大まかな流れは以下の通りです。

①まず各グループに分かれグループが担当する巻の読み取りを行う(人物や動物の動きに着目)

②新たなグループ(それぞれ異なる巻を担当したもの同士で構成)にて『鳥獣戯画』の謎を解明していき、結果をクラス全体で共有

③グループ活動を通して形成された考えをもとに個人で再度『鳥獣戯画』の謎について自らの意見を述べる

この授業の目的・目標

この授業の目標は二つあります。

一つ目は根拠に基づいて資料を解釈することです。『鳥獣戯画』の謎を明らかにする前に、本作品を読み取る時間を充分に設けることで、根拠に基づいた資料の解釈を行えるようにしました。

二つ目は、自らが読み取った内容と、他者が読み取った内容を比較、分類して多面的・多角的に資料を解釈することです。

『鳥獣戯画』全体を一人が読み取るのではなく、全4巻を1人が一巻ずつ読み取りその内容をグループで共有させることで、本作品の謎を明らかにする際に、作品の多様な側面を他者のさまざまな角度から解釈できるようにしました。

生徒の反応・感想

生徒が提出したものを見ると、それぞれ担当した巻を共有しあい、組み合わせたり、比較したりして結論を導き出しているグループがありました。授業の目標にかなり迫ることができたのではないかと思います。また、それぞれの巻の読み取りの時間をしっかり設けることで、それがグループ学習で活かされ、生徒はそれぞれグループ活動に参加し活発に発言していました。

先生の感想・メッセージ

普段から資料の読み取りや解釈を行う学習を取り入れてはいますが、やはり文字資料よりも絵画資料の方が生徒は興味関心をもって資料に向かってくれることを痛感しました。

また文字資料を読解している時間よりも格段に話し合いも活発でしたが、それは単に資料が生徒にとって興味深いものであっただけではなく、ジグソー学習によって生徒は自らが発見したことや得た知識を活かせることが実感できました。

今後の課題として、社会科で扱う資料は絵画だけではありませんのでこれからは文字資料にもうまくアプローチして、生徒の興味関心を引きつつ思考力や表現力の育成に努めていきたいです。

本校の事例紹介